ブランドづくりにおいて、最も頻繁に「重要だ」と言われる一方で、つい後回しになりやすいのが商標の出願・登録です。
多くのブランドオーナー様から「商標出願は本当に必要でしょうか?」とご相談をいただきますが、弊所ではしばしば次のようにお伺いします。
「保険にまったく入らずに事業を進めるのは、現実的でしょうか?」
商標登録の考え方は、保険と非常によく似ております。
平時は大きな問題が起きないこともありますが、いざという時にブランドを守る強力な根拠となります。
商標出願は「任意の事務手続き」ではございません
商標は、あってもなくてもよい形式的な行政手続きではありません。
商標登録を行うことで、自己防衛ができるだけでなく、第三者による同一・類似の使用を排除する権利を得ることが可能となります。
言い換えますと、ブランドを
「弊社(自社)が使用している」状態から
「弊社(自社)が排他的に使用できる」状態へ
転換するための、重要な“証明”となります。
特に以下のような局面では、商標は欠かせない「土台」になります。
1.越境(海外)展開を予定している場合
2.プラットフォーム(ECモール等)への出店・広告配信場合
3.代理店・販売パートナーを開拓する場合
4.フランチャイズ、ライセンス、OEM/ODM 等の契約を検討する場合
🤝台湾における商標出願~登録まで
台湾では、商標は出願後、一般的に約6か月程度の審査期間を経て判断されます。
審査の結果、登録を妨げる理由が認められない場合は登録査定となり、出願人が登録料を納付した後に登録公告がなされ、登録証が発行されます。
👍本記事の内容
本記事では、台湾の商標出願フローをチェックリスト形式でわかりやすく分解し、あわせて下記の実務視点も整理いたします。
1.越境ブランドにおける商標保護の考え方
2.台湾と他国(例:日本)における商標登録の違い
3.国際登録を検討する際の戦略的な注意点(記事末尾にFAQあり)
また、特許出願(製品技術 or 外観)と商標(ブランド名 or ロゴ)を同時に検討されている場合、弊所では以下のように整理することをおすすめしております。
1.商標=ブランドの護城河
2.特許=プロダクトの護城河
両者を併せて整備することで、はじめて包括的な知的財産戦略となります。
(延伸閱讀:製品特許の申請方法|台湾特許の3つのポイント)
🌐なぜ商標出願が重要なのか
商標が必要な理由は、「きれいな登録証が欲しいから」ではございません。
実務においては、以下のような場面で直接的に効果を発揮します。
1. 先取り出願(第三者による先願)を防ぐため
時間をかけて育てたブランド名が第三者に先に登録されると、
その後、改名を余儀なくされる、あるいは権利を買い戻す費用が発生する可能性がございます。
2. 出店・広告・流通提携を円滑に進めるため
OEM工場、ECプラットフォーム、流通・小売等の取引先から、
登録証の提出、または少なくとも**出願中であることの証明(出願番号等)**を求められることがございます。
3. ライセンス/加盟/代理店契約の前提として
商標権が存在しない状態では、契約書が整っていても
「そのブランド名を使用する権利が確実にあるのか」という点で不安が残り、交渉が停滞することがございます。
4. 越境展開の“入場券”として
日本・東南アジア・米国等へ展開される場合、商標は多くのケースで最初に整備すべき権利です。
現地での商標がないことで、出店制限や模倣被害のリスクが高まります。
🌐台湾商標出願の流れ(ステップ一覧)
1.商標調査 *強く推奨
同一・類似商標を確認し、拒絶・異議のリスクを低減します。
2.商標の態様を決定(文字/図形/組合せ)
中国語・英語・ロゴを分けて出願するかも含め検討します。
3.区分選定
指定商品・指定サービスを適切に選びます。
4.出願書類・資料の準備
5.出願提出
6.審査(必要に応じ補正・意見書)
7.登録査定(認容の場合)
8.登録料納付(納付後に権利発生へ)
9.登録公告・登録証発行(公告日から商標権取得/10年有効)
🌐出願前に準備すべき資料(基本情報)
1)出願人情報(権利者の確定)
a.個人名義 or 会社名義
会社が複数名で運営されている場合、原則として会社名義が管理上有利です。
b.住所・電話・メールアドレス(重要通知の受領のため)
c.代理人を委任する場合:代理人情報・委任状
d.外国出願人の注意点:
台湾国内に住所または営業所がない場合、原則として国内代理人の選任が必要です。
ただし、外国法人が台湾に支店を設立し営業所住所を有する場合は、必ずしも代理人が必要とは限りません。
2)商標図案(使用実態に即したもの)←大事です。
a.文字商標(標準文字・デザイン文字)
b.図形商標(ロゴ)
c.組合商標(文字+図形)
実務上の考え方:
文字はブランド呼称の中核である一方、ロゴは改訂されやすい傾向があります。
分割出願の要否は、露出方法とブランド戦略により判断します。
3)指定商品・指定サービス(クラス)
a.台湾は全45類。
登録するのは「商標そのもの」ではなく、商標を使用する商品・サービスの範囲です。
TIPOは分類参考資料を公開しています。
4)その他(案件により)
a.優先権主張
b.権利関係の説明資料 等
5) クラス選定の実務ポイント(ニース分類で“守る範囲”を設計)
クラス選定は「広く取りすぎればコスト増」「狭すぎれば保護不足」になりやすいため、現実的には次の3点で絞り込みます。
1.現在、実際に販売・提供しているものは何か
2.3年以内に確実に提供開始するものは何か
3.模倣された場合に最も損害が大きいものは何か
4.商品・サービス名の記載については、TIPOの参考名称を優先的に使用することで、補正リスクとコストを下げることが可能です。
6) 出願提出と官費の目安(2024年5月1日以降)
TIPOの商標規費(2024年5月1日施行)に基づく主な項目は以下のとおりです。
出願料: 1類 NT$3,000
第1–34類:同類商品20個以下(超過分は1個ごとにNT$200追加)
第35–45類:1類NT$3,000
第35類の特定小売サービスが5個を超える場合、超過分は1個ごとにNT$500追加
登録料: 1類 NT$2,500(査定後に納付)
加速審査料: 1類 NT$6,000追加
電子出願減額: 1件NT$300減額
参照名称と完全一致の場合、さらに1類NT$300減額
7) よくある手続き:補正
出願内容に不備がある場合、補正通知が出ることがあります。
代表例:
出願人情報の不足(住所・名称等)
商品/サービス記載の不適合
商標図案ファイルの形式・解像度の問題 など
いつ権利が発生するのか(登録・証明書)
TIPOのFAQによれば、登録査定後、出願人は査定書送達から2か月以内に登録料を納付する必要があります。
納付後、TIPOが登録公告を行い、公告日から商標権が発生し、有効期間は10年です。
期限内に納付しない場合、原則として公告・証明書発行はされません。
ただし条件により、期限満了後6か月以内に登録料の2倍を納付して登録を得られる可能性があります。
🌐FAQ(よくあるご質問)
Q1:台湾商標はどれくらいで登録できますか?
一般的に約6〜7か月です。補正・意見書等により延長することがあります。
急ぎの場合は、要件を満たすと「加速審査」を検討できます(2024年5月1日開始)。立案後2か月以内に第一次通知が期待されますが、補正等があれば影響します。
Q2:費用はどのくらいですか?
代表例として「1類・数量超過なし」の場合:
出願料:1類 NT$3,000
登録料:1類 NT$2,500
数量超過や加速審査の利用により追加となります。
Q3:台湾も国際出願(Madrid)でまとめられますか?
誤解が多い点ですが、台湾はマドリッド制度の対象外です。
そのため、マドリッドやEU商標から台湾を直接指定できず、また台湾の出願を基礎として国際登録をすることもできません。
越境ブランドの場合、台湾はTIPOへ個別出願、その他の国は市場に応じて個別出願または(条件を満たす場合)マドリッドを併用する形になります。
優先権主張が可能なケースもございます。
Q4:公告後に他社から反対されることはありますか?
はい。台湾の異議期間は、登録公告日から3か月以内です。
越境視点:台湾と日本の主な違い(実務の要点)
1)海外出願人の代理人要否
台湾:国内住所・営業所がない場合、国内代理人の選任が原則必要
日本:海外出願人は原則として日本国内代理人が必要
2)権利発生のタイミング
台湾:登録料納付 → 登録公告日から権利発生(10年)
日本:登録査定後の納付で権利発生(登録期間の選択など制度差あり)
3)異議期間
台湾:公告日から3か月
日本:公告日から2か月
🌐越境ブランド向け実務戦略:国際登録を検討するタイミング
国際登録(マドリッド等)は、管理の効率化やコスト最適化に有効な場合がございます。
しかし台湾は非加盟のため、国際登録のみで台湾をカバーすることはできません。
実務上は、次の2ラインで設計することが多いです。
台湾ライン: 台湾で確実に権利を確保(主要市場・製造拠点が台湾の場合は特に重要)
海外ライン: 日本・EU・米国等は市場計画に応じて個別/マドリッドを選択(条件・資格要件を確認)
🌐成功した事例:台湾ブランドが商標整備で日本市場進出をスムーズにしたケース
台湾発の菓子ブランドAは、日本のEC販売を予定していました。
しかし台湾では長年使用していたものの商標登録が未整備で、日本でも同名(漢字)を使用予定でした。
対応:
台湾:文字商標+ロゴを出願し、権利の土台を確保
日本:同名漢字で出願し、ブランド同一性を担保
タイミングにより優先権主張を検討
結果:
台湾側の権利基盤が安定
日本側でもプラットフォーム/流通へ権利根拠を提示しやすくなり、模倣・出店拒否等のリスクを低減

💬 まずはご相談ください
知築智慧產權(Chichiku IP)は、ブランドオーナーの皆さまを対象に、
特許や商標出願の適否の検討、出願手続きから海外展開・権利活用まで、
トータルでサポートするコンサルティングを提供しています。
台湾商標出願、または「台湾+海外」を含む商標戦略をまとめて検討される場合、
商標調査・クラス設計・リスク分析まで一貫して行うことで、結果としてコストと時間のムダを抑えられるケースが少なくありません。
ご希望の国(台湾/日本/米国/EU等)
販売チャネル(EC/実店舗/OEM/代理店など)
予定スケジュール
守りたいブランド資産(ブランド名/ロゴ/サブブランド)
を踏まえて、最適な進め方をご提案いたします。
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